マンボウ科魚類の雌雄の見分け方
魚は外見から雌雄を見分けられる種もいますが、生殖腺を確認しないと外見からは見分けられない種もいます。マンボウ科魚類は後者で、外見から雌雄を見分けられるのかどうかはまだ十分な知見がありません。そこで、ここではマンボウの生殖腺を確認しての雌雄の見分け方をご紹介いたします。
まずはマンボウ(以下マンボウ属を指す)を用意します。
ここでポイントとなるのが矢印の肛門です。
もう少し拡大してみましょう。
肛門の後ろに生殖腺に繋がる孔が開いています。ここでは生殖孔と呼ぶことにします。面白いことに、マンボウは人間の肛門と生殖腺の位置が逆ですね。
さて、解剖して、生殖腺の位置を確かめます。
生殖腺は未発達ですと、消化管に被ってわかりにくいです。肛門直前の消化管にひっつくような形で生殖腺はあります。
もう少し大きな個体で見てみましょう。
肛門直前の消化管を少し引っ張るとその後ろに生殖腺が確認できます。この場合は♀ですね。♀は単一の丸い形をしています。
ちなみにこちらはマンボウ属の♂の生殖腺です。
♂はたらこ状のものが2つあるがわかります。マンボウ属の生殖腺は一般的に漁獲できる最小サイズ(全長30p前後)でも雌雄で形が違うので見分けるのは簡単です。
ちなみにこちらはヤリマンボウ属の生殖腺。左が♀、右が♂。ヤリマンボウ属の生殖腺はマンボウ属と同じですね。
そして最後にクサビフグ属の生殖腺。
これまでの流れですと、たらこ状のものが2つあるので、♂に見えます。しかし文献によると、どうもクサビフグ属は♀もたらこ状のものが2つあるようです(私もクサビフグ属は未調査なのでよくわからないのですが)。クサビフグ属の雌雄を見分けるには注意が必要ですね。
マンボウ・ヤリマンボウ VS クサビフグでみられたように、生物は種によって形態形質が異なるので、観察には注意が必要です。
2011年7月7日作成
Top