メディア考察2(シチョーシャーズ!!)

 ここではテレビ番組で用いられたマンボウ類に関する情報について考察してみようと思います。なお、いくつか画像を載せていますが、これらの画像は製作者の方々に帰属します。何か問題があればご連絡下さい。



【情報ソース】 シチョーシャーズ!!『水族館の人気者 マンボウの丸秘生態に迫る!』(2011年12月25日放送)by 東海テレビ



1.水族館飼育員がマンボウを紹介 →水族館関係者の間(?)では「マンボウに名前を付けると死んでしまう」という伝説があるので、個体番号で識別している。



 サンシャイン水族館の間だけなのか、他の水族館でもそうなのか詳しくは知りませんが、こういう噂は初めて知りました。しかし、鴨川シーワールドのマンボウは名前が付いていても最長約8年2ヶ月も飼育できているので、噂は噂ですね。


2.マンボウの紹介@ 出生が謎 →魚類の中で最も多くの卵を産む魚(3億) →マンボウ類の稚魚 →生まれる瞬間は誰も確認されていない



「一度に3億個を産む」と言わず、魚の中で一番卵が多いと紹介しているのは正しいです。数年前に世界初としてNHKでも放映されたヤリマンボウの稚魚の遊泳映像。これもナレーターではマンボウと言っているものの、注意書きでヤリマンボウの赤ちゃんと書かれているのは正確でいいです。そして、マンボウの生まれる瞬間は……人類史上まだ知見が一つもありません。


3.マンボウの紹介A おっちょこちょいな魚 →マンボウ水槽にはビニールが貼られている →マンボウは壁にぶつかって死ぬこともあるので予防策としてビニールを貼っている →マンボウが壁にぶつかっている実際の映像



 簡単に言い過ぎて壁にぶつかるだけで死んでしまうような弱いイメージを思い浮かべますが、実際に言いたいことは、壁にぶつかって体に傷ができて化膿して死ぬということでしょう。私も様々な水族館の方から聞きましたが、飼育下のマンボウは何故か壁に直進する行動を取る時があるようです。そのせいで、水族館のマンボウはたらこ唇に腫れ上がっていることがよくあります。Kino et al.(2009)より、サメと同等の視力を持つマンボウは視力は魚の中で良い方と思うので見えてないことはないと思うのですが……よくわかりません。


4.マンボウの紹介B デリケートすぎる魚 →マンボウは寄生虫を振り払うためにジャンプする →実際にマンボウがジャンプする映像 →しかし、着水する衝撃で死ぬことがある



 マンボウがジャンプする理由はよくわかっていません。しかし、カジキ類など他の大型魚でもジャンプすることがあり、それは寄生虫を落とすためと言われています。体の寄生虫を取ったらジャンプしなくなったという話を水族館の飼育員から聞いたこともありますが、これを証明するのは難しそうです。マンボウのジャンプは知られていても実際に撮った映像はめったにありません。おそらく日本初の映像でしょう。マンボウがジャンプして着水した衝撃で死ぬという話はwikiにも載っていますが、どこからのソースなのかイマイチわかりません。私が知る限りではそのような知見は文献の中で見たことがないです。ジャンプして水族館の天井に当たって血塗れてで落ちてきたという話は聞いたことがありますが……今後ソースを見付けることがあれば紹介したいと思います。




5.水族館職員がデリケートなマンボウに餌として混ぜているものは何? →芸能人「お酒」 →正解は人間と同じ「胃薬」



 栄養添加のためにビタミン剤や、内部寄生虫除去のために虫下しを飲ませることは聞いていましたが、胃薬は初めて聞きました。マンボウが自然下で食べているものと同じ食事を与えている中で胃薬にどういう効果があるのか、他の水族館でも胃薬を与えているのか気になるところです。


 今回、番組からの依頼で約一ヵ月くらい取材協力しました。番組ではさらっと言っていますが、運よく集めることができた、これらの映像はどれもかなり貴重なものばかりです。じっくり見直してみると、面白い情報が溢れています。それにしても、マンボウはまだまだわかっていないことばかりです。

ちなみに、偶然見つけた掲示板での反応は……いろいろでした。



 2012年1月16日作成 


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