簡単にできる乾燥標本の作り方

マンボウ類は分類学的に未だによくわかっていないグループで、調査が終わった個体は標本にしておくことが求められています。しかし、マンボウ類は通常の魚類に比べて大きいため、ホルマリンなど液浸標本にすることが難しい。そこで、試行錯誤の末、私が思い付いた乾燥するだけでできるマンボウ類の剥製標本の作り方を紹介します!


step.1.まずは標本を用意します。これは60pクラスのヤリマンボウです。



step.2.計測、計量、計数の調査を行い、片側を残すように解剖します。

マンボウ類は下の写真のように、皮下のゼラチン(コラーゲン)層がとても厚い! しかし、これは風に晒しておくと、自然と蒸発していきます。



step.3.きれいに片側を残すように解剖し、できるだけ、肉や内臓、骨を除去したら、ベランダなど日当たり、風通しの良い場所に置きます。あとは時々様子を見ながらひたすら放置。皮下ゼラチン層が蒸発して皮だけになるまでひたすら放置します。

左から、だんだんしわしわになっていくのがわかりますね。これを見ていると、マンボウ(以下、この記事でのマンボウとはマンボウ属の総称を指す)の肉は放置しておくと自然と溶けて消えるという噂もあながち間違ってはいないような気がします。まぁ、この場合は肉じゃなくて皮下のゼラチン層で、実際、肉が蒸発して消えることはないと思いますが、マンボウの皮を放っておいたら縮んでしまったということから、肉が消えるという噂に発展したのかもしれませんね。



step.4.そして、ずっと放置すること十数日・・・乾燥標本の完成です!! 個体の大きさによって乾燥する時間は変わりますが、こうして乾燥標本にしておくと、鱗、鰭の数、全体がどんな形をしていたのかなどがわかり、何より、データを取得した個体の実物的証拠となりますね!

これなら、薄くて軽いので、保存場所にもまだ困りません! 1m後半以上はなかなか腐ったりしてこの方法ができないかもしれませんが、今後、挑戦してみたいですね〜



以上、簡単ですが、マンボウ類の乾燥標本の作り方をご紹介しました。

聞くところによると、本当は魚類標本で乾燥はよくないとの話ですが・・・マンボウ類は保存スペースを取るので、仕方がない感がありますね。
これでも立派な証拠標本になり、形態データを取ることができます。
 2011年2月2日作成  2011年2月17日更新


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