日本産魚類検索 全種の同定 第三版 改訂点(マンボウ科)

 どんなに優れた書籍でも、すべてを網羅する完璧なものはおそらく存在しないでしょう。
 また、事実は時が経つにつれ、認識が変わっていくものです。
 この本は今後、様々な人が参考にされると思われるので、現時点(2013年4月)での改訂点を申し上げようと思います(クレームというよりは、より詳細を知りたい人向けに)。


★総合文献について――いくつか持っていないので確認できていない文献はありますが、解説で引用されている瀬能他(1998)は総合文献リストに載せ忘れているようです。
 もう一点、本間(1956)を確認したところ、マンボウ類の記述はなく、同年同魚類学雑誌の浅野(1956)の間違いではないかと思います。

★大きさについて――マンボウ科は体長(SL)で表記されています。しかし、一般的にマンボウ類の体の長さは「吻端から舵鰭後端」を用いられる場合が多いので全長(TL)と表記した方がよかったかなと思います。
 また上記に関連して、マンボウは4mSL、ウシマンボウは3mSLと表記されていますが、これはアバウト過ぎます。マンボウの体長4mの知見は浅野(1956)の知見を基に記されたものと思われますが、遺伝解析されていない昔の知見で写真もなかったので、マンボウかウシマンボウかは正確にはわかりません。現在出版されている中で最も正確な両種の最大の大きさの知見はYoshita et al.(2009)より、マンボウ2.8m TL、ウシマンボウ3.3m TLです。

★北海道産のマンボウ属について――解説の方でマンボウかウシマンボウか比較が未検討と書かれていますが、引用されている山野上他(2010)より遺伝解析で北海道にはマンボウが存在することが記されています。ウシマンボウがいるかどうかは今のところわかりません。

★ヤリマンボウはクサビフグについては従来の情報通りでも問題ないかなと思います。


 2013年4月13日作成 


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