底生生物も食べる?

マンボウ類はクラゲなどのゼラチン質の動物プランクトンを主に食べるとされていますが、実は底性を示す餌が消化管内容物から出てきたという報告もあります(e.g., Desjardin, 2005)。

スキューバーダイビングでの観察例でも、マンボウ(以下、この記事で言うマンボウとはマンボウ属魚類の総称を指す)が逆立ちして砂中の小動物を食べていたという知見があります(益田・小林,1994)。

【追記】もう一点、同じくスキューバーダイビングの観察例で、オーストラリアのマンボウが「 feeding or scratching on the bottom」していたという知見もありました。(Bradly,2010)。

 今回、すさみ町立エビとカニの水族館のスタッフの方から珍しい写真を提供して頂きました。なんと、マンボウが底に落ちた餌を食べている様子を、スキューバーダイビングで撮影したとのことです!!

 それが下の写真。このマンボウは三重県で漁獲され、和歌山県の野外に設置した生簀の中で飼育されていたのですが、この個体(名前はミポリン)は沈んだ餌しか食べず1回も人間の手からは食べなかったとのことです。見事な写真で、生簀に落ちているイカ(写真左)を次の瞬間には食べています(写真右)。


 これまで、実際に底ものを食べているシーンを撮られた映像は私の知る限りありません。また、水槽内ではなく、生簀で囲んであっても野外で飼っているマンボウがこういう行動を起こしたというのは非常に興味深く、底性の餌も食べるということを示唆しているように私には思えます。

 同じフグ目であるカワハギは底にいる餌に向かって、水を吹きかけて水底の砂を掘り出し、出てきた餌を食べるという話ですから、マンボウが似たような摂餌行動をする可能性はあるような気がします。



 2011年2月17日作成 2011年7月4日更新


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