マンボウの側線



これまで、マンボウ類には側線が無いと言われてきました(e.g., Nelson, 2006)。

しかし、Nakae and Sasaki(2006)により、マンボウの側線が発見されました。

 側線とは・・・「周囲の水の動きや水圧の変化、低周波の音を受容する器官で、種によって走り方が異なり、分類形質として利用されることもある。カワハギ類やタナゴ類は退化的で体の後半部が消失している etc.」(落合 明編『魚類解剖図鑑』1987年)

 簡単に言うと、マンボウ(以下、この記事で言うマンボウとはマンボウ属魚類の総称を指す)も水の流れなどを感知できるということです。これを示唆するような報告を霜山・川村(1978)がしており、飼育下のマンボウに対して、マンボウの遊泳を阻害するほどの強い流れは不適で、ゆったりした流れにする必要があることを述べています。

 さて、そんなマンボウの側線。Nakae and Sasaki(2006)の論文を参考に、乾燥標本で探してみました。あるとわかれば意外にすぐに見付けられるもので、以下がその側線の一部の写真です。

画面中央に白い線が見えますね。それが側線の並びです。


少し拡大


さらに拡大。側線の数を数える時は、矢印で指し示した白い点を数えます。


 マンボウに関する形態の論文はかなりたくさんあるのですが、いろんな研究者が様々な視点から何度も調べ直すことで、より真実に近付いていくことができるのです。

お・ま・け・・・で、写真を整理したら出てきました。生鮮時のマンボウの側線です。




 2011年2月17日作成 →2011年3月17日更新


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