ヤリマンボウ食べて食中毒!?

 マンボウ類は有名なテトロドトキシンを持つフグ目の仲間です。しかし、マンボウ類には毒はなく、日本でも海外でも食べられています(私もマンボウ属、ヤリマンボウ属、クサビフグ属すべて食べました)。が、ヤリマンボウを食べて食中毒を起こした人がいるようです。 ソースはこちらの論文。マンボウ類は安全なのかそうでないのか? 詳しく見てみましょう。



・事件の舞台は台湾。女性二人がヤリマンボウを食べた後、食中毒(舌の苦味、咽喉痛、乳房痛、筋肉の痛み、腹部の膨張、嘔吐、頻脈)を起こして地元の病院に運ばれた。しかし、適切な処理をされて、2〜3時間後に退院。
 この症状はパリトキシン(筋肉の痛み、弱体化、熱、吐き気、嘔吐、筋肉の痛み、圧痛)と似ていた。
 そこで、食中毒を起こしたレストランからヤリマンボウの切り身を回収して、毒性試験や種の特定(調査前ではマンボウ科のどの種かわかっていなかった)を行った。
 またクサビフグとヤリマンボウの生鮮サンプルも得て、比較も行った。

 その結果、生鮮サンプルは両種ともテトロドトキシンは検出されなかった。しかし、食中毒を起こした切り身はからの抽出物は魚への致死力(※人間には致死力はない)、人間や動物の赤血球への溶血作用を示した。赤血球への溶血作用はシガトキシン(シガテラ中毒)の症状と異なり、パリトキシンの特徴である。生鮮サンプルから検出されなかったことから、一般的には問題ないが、今回の食中毒サンプルも生じることがあるので、食べるには注意が必要である。

 ↑要約するとこんな感じです。で、このパリトキシンは何なのかをGoogle検索で調べてみると……テトロドトキシンよりも強い毒らしいです。。。しかし、このパリトキシンはヤリマンボウ自体が持っているのではなく、原因の毒素を生産する有毒渦鞭毛藻を摂取して生物濃縮することで発症するようです。トラフグと似たような感じですね。厚生労働省の自然毒のリスクプロファイルのパリトキシン様毒には、食用とされるアオブダイやハコフグが入っていました。

 これらのことから推察するに、原因となったヤリマンボウは運悪く有毒渦鞭毛藻が発生した海域に回遊し、その後、さらに運悪く捕獲され、人に食べられてしまった、ということではないのでしょうか?

 まとめると、食べた人は運が悪かった! これはヤリマンボウがフグの仲間だからというよりも、たまたま有毒渦鞭毛藻が発生した海域で摂取してしまったからでしょう。他の魚でも起こりうる可能性は考えられます。イメージとしては運が悪いと当たる牡蠣のようなものでしょうか。当たるも八卦、当たらぬも八卦、料理の仕方によってはおいしいヤリマンボウ、私は気にせず食べ続けることでしょう。

 2012年3月8日作成 


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