マンボウは体表から出る粘液に抗生物質が含まれている「海のお医者さん」?
こちらの記事でも指摘しましたが、「マンボウの体表から出る粘液には抗生物質が含まれていて、傷付いた魚がそれを求めてマンボウに近づいてくる」という逸話があります。
これが本当でしたら、かなり面白いのですが、私個人の意見としては眉唾物のように感じています。
もし、そんな効果があるのなら、医学関係や製薬会社がマンボウを積極的に研究していることでしょう。
しかし、実際はそうなっていないのが現状。そして、これまで数百の文献を読んできた私ですら、そのような記述がある論文を見た記憶がありません。
ネット検索そういった文献は全然見当たらないし……一体、この噂の出所はどこからなのか?
私、個人の推測としては、この噂は日本に限ったことではないかと思います。何故なら、日本以外の国でそのような話を聞いたことがないからです。
推測として、マンボウの周りに群がる魚を見た人が、そういう風に想像を働かせたのではないかと思っています。
個人的に推測するマンボウの周りに魚が群がる理由は2つ。
1.大きな魚に自分の身を隠すため。
2.寄生虫や糞などの餌を得るため。
体表の寄生虫を魚が啄ばむ様子は、あたかも魚がマンボウの体表に体を擦り付けているようにみえるかもしれません。また、マンボウの体表はザラザラで、他の魚が体を擦り付けて寄生虫を落とすという噂もありますが、いつ出会えるかわからないマンボウを頼るより、水底の砂や石に体を擦り付けた方が良いように思います。つまり、この説もマンボウの寄生虫を啄ばんでいる様子からそう見えたのではないかと思います。
出典元の論文に出会っていない以上、私としては否定的な意見になってしまいますが、真偽はさておき、以下に噂を記しているサイトをまとめてみました。
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7
その8
その9
その10
本当に抗生物質なんてあるのか、非常に気になる所ですが、私は成分分析はしないつもりですので、どなたかサクッと研究してくれないでしょうかね? マンボウの粘液を採取すること自体はそれほど難しくは無いことですので……
2012年7月16日作成 
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