メディア考察7(月曜から夜ふかし)

 マンボウはテレビ以外でも何かとメディア(漫画・アニメなど)でもネタにされる生物です。ここではどういうことがメディアでネタにされているのかを紹介し、間違っているところをズバッと指摘します。画像の著作権は各メディアに帰属します、何か問題があればメールをお送り下さい(ここでは科学的検証の引用という形で掲載させて頂いています)。

日本テレビ(2013) <月曜から夜ふかし 2013年10月14日放送「マンボウとれ過ぎ問題」>

いつものように番組の内容について、鋭く切り込みましょう。

島根県の隠岐島の米を紹介→ご飯に合うこの時期のおかず秋鮭を求めて北海道厚岸へ→鮭はあまり獲れていない→北海道マンボウ獲れ過ぎ問題




・厚岸では8月末は定置網の中に数えきれないほどのマンボウ。
・今年は夏の猛暑により、海水の温度が異常に上昇。元々この近海少ないマンボウが暖流に乗って大量に入り込んだ。
・北海道ではマンボウは食べないので、人の手で定置網の外に逃がしている。
・マンボウの皮膚は石のように堅く、網や他の魚を傷つけてしまう。
・マンボウを取り除く作業は、漁師にとって時間のロス。

 →間違ってはいませんが、夏の猛暑によって海水温が上がったのではなく、今年は夏になる以前から海水温は高いと言われていました。ソースはこちらの記事を。
 →網や魚を傷つけてしまうのは、マンボウの堅さではなく、後でスタッフが実際に触って言っている「ヤスリのようなトゲトゲの表皮」をしているからです。




・マンボウにも同情すべき点がある→マンボウすぐ死んじゃう問題→マンボウは非常にストレスに弱く、ちょっとした出来事で命を落とす→その繊細さは都市伝説としてささやかれるほど…
1.朝日が強すぎて死亡
2.水中の泡が目に入ったストレスで死亡
3.海水の塩分が肌に染みたショックで死亡
4.前から来る海亀とぶつかると思ったストレスで死亡
5.近くの仲間が死亡したショックで死亡
・水族館の方はこれら5つの都市伝説はよくわからないと言っていますが、マンボウがストレスに弱いことは確かなようで、餌に胃薬を混ぜているとのこと。

 →都市伝説というか噂というか…上記5つの死亡説は完全にすべてデマですね。これら都市伝説の元ネタはネット(今年8月)からのようです。
 →登場した水族館の方と「餌に胃薬を混ぜる」という発言に記憶があるなと思ったら……シチョーチャーズと同じ方のようでした。




・マンボウにも良いところはある→マンボウ意外と美味しい問題
・マンボウは一部の漁師の間で食べられている。
・鮮度が落ちると臭みが出るので市場には流通することがほとんどない幻の魚。
・(マンボウ肝油は)血液をさらさらにする効果があるというDPAが鮭の3倍。
・スタジオでのご飯のおかずは鮭ではなくマンボウを→潮が変わってマンボウはいなくなった→乗船させてもらってマンボウを獲りにいく→獲れたマンボウを触って「岩みたい、ヤスリみたい」→マンボウ料理をスタジオで。
・スタジオに出てきたマンボウ料理は・・・刺身、肝味噌和え、腸の串焼き、背肉の黄金焼き。

 →マンボウ料理を食べたスタジオの人が言っているように、火を通したマンボウの身は鶏肉のような食感になります。鶏肉と考えれば、結構万能な料理に使えます。マンボウの唐揚げ、マンボウカレーはそれなりに美味しいです。
 ここらに関する知見については特に言うことが無いですね。



実は今回も取材協力をしたのですが、依頼がきた当初、ネットの情報を多く使って番組を構成されていて、誤った知見そのままで放映されてしまいそうだったので、いろいろ直してもらいました。マンボウはネタにされやすい魚で、誰かが面白いと思って言った発言が出回って多くの人の目に触れると、本当の情報かのように認識されてしまいます。ネットの情報は要注意です、特にテレビ番組製作の方は。

 2013年10月19日作成 


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